遠くでかすかに聴こえてる
少しずつ こっちに向かってやって来る
だんだん大きくなってきた
ああ やっぱり来たんだな
秋の音楽隊
指揮を執るドラムメジャーを先頭に
打楽器が木(こ)の葉を揺らし
ホルンが絵の具のふたを開ける
黄 オレンジ 赤
フルートが鈴の実を散らせば
トランペットは空を高く、青く突き抜けさせる
軽快なリズムと心踊る旋律が
木々を美しく染め上げて
何もかもすっぽりと包み込む
目の前を通り過ぎるのをずっと待っていたのに
もう 白と金色の制服達の 後ろ姿の行進が、
向こうの方の見えている
だんだんと遠くなって、
小さく見える音楽隊
かすかな音が響いてる
あちらこちらに彩りの足跡と
愛しさの余韻を残して去ってゆく
北風に指揮杖(バトン)を渡して