投稿者「ADS」のアーカイブ
秋に
春に 花に主役を譲っていた葉っぱが 夏を過ぎ ようやくその重い口を開いて 素敵な物語を語り始める 訪れた秋は 生き物達に 朝ゆっくりと目覚めさせ 夕には、これまでより ほんの少し 早く眠りにつ … 続きを読む
夏の終わりに
8月も半ばを過ぎると 太陽も、少しだけ力尽きる日があるようだ そんな日には 風にまかせて 植物達が、尖った葉っぱの先などを かさこそと擦れ合わせながら うわさ話を始める "きっとそのうちには 秋がやって来るは … 続きを読む
夏
遠くに見える祭りの火 蝉のなき暮らす声の中に 水音を探す 夏は うつつと幻の間で 夢を探しにゆく時間 風鈴の音が 髪の間を通り抜け 私が、自分の中から消えてゆく 心 … 続きを読む
春をささげる
朝、一輪の花が開いた。 待ち続けていた春の扉が、 今日開いた。 光の中を、 微笑みながら、自転車を走らせる子供達。 駈け出す子犬。 春の歌声が、耳元をすり抜けて行く。 走れよ、走れ 笑えよ、笑え 大きく息を吸って、 青き … 続きを読む
早春の陽(ひかり)
まだ指先に冷たさが残る頃、 枯れ木の根本の所の乾いた地面に 春を待つ様に陽(ひかり)が当たり、 雀の子らを遊ばせている。 これから萌えいずる物たちは、 もうほんの少しの間眠りについている。 この静かな時を納 … 続きを読む
秋のマーチ(過ぎ行く秋に思いをはせて)
遠くでかすかに聴こえてる 少しずつ こっちに向かってやって来る だんだん大きくなってきた ああ やっぱり来たんだな 秋の音楽隊 指揮を執るドラムメジャーを先頭に 打楽器が木(こ)の葉を揺らし ホルンが絵の具のふたを開ける … 続きを読む
この星に生まれて
小さな種が地面に落ちると、其処から美しい芽が顔を出す お母さんそっくりの可愛い赤ちゃんが目の前を通り過ぎる ここはなんて不思議な世界なんだろう 木の梢の鳥のさえずり 澄んだ川面に見え隠れしている生き物 陽の光と風と雨が全 … 続きを読む
でんでん虫と紫陽花 (童話)
紫陽花の方は、いつも空を見つめていた。 鈍よりと編み込まれた、グレーの雲を突き抜けるその眼差しの瞳は、恥じらいを漂わせながらも、奥底に真の強さを感じさせる、深い湖の青だった。 けれど彼女は、自分には他の花達の様に、陽の光 … 続きを読む